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【九州電力第三者委員会メンバーの眞部社長に対する公開質問状会見】

2011/11/9

11月9日 10時30分~11時5分
福岡商工会議所記者室

[会見者]
名城大学教授・弁護士     郷原信郎
九州大学大学院法学研究院教授 阿部道明

[阿部]
まずご報告を。たった今、九州電力本社に参りまして、ここにありますように、元第三者委員を務めました郷原、阿部、古谷の3名の連名で、眞部社長個人宛の公開質問状を先ほど九州電力本社で社員を介して渡してきた。公開質問状に至った経緯と、それから、公開質問状の内容について、まず私からご説明したい。

まず、公開質問状にいたった経緯ですが、みなさんご承知の通り、第三者委員会の報告書が出されまして、そのあと中間報告書の段階から、九電から批判がすでに出されていました。最終報告書が出されたあとも、知事の関与の部分に関して批判が出されまして、九電の経産省への最終報告書においては、知事の関与の部分がカットされた報告書になっています。

それに対して、我々第三者委員会を勤めた各委員としまして、内容的に承服できないと。第三者委員会の報告書ができあがった経緯というのは、17名の弁護士が入念な調査を行い、ヒアリングを行いまして、十分な調査の元に、事実を積み上げてできあがったものでございます。私どもの主観で作ったものでなく、事実を積み上げた報告書と考えております。その核心部分を、九州電力の報告書に採用していないというのは、第三者委員会の立場からは承服できないという経緯があります。

それから、10月26日の取締役会前にはきちんと議論するようにと提言をして、その後、郷原先生が松尾会長に、その場で「口頭で議論をしよう」と申し上げていました。その趣旨ですが、我々の一番の懸念点は、九州電力の役員社員が報告書を全部読まれていないのではないかと。これは一般の方もそうですが新聞、テレビで内容を理解している面が多い。報告書は100ページを超える膨大なもの全部で読み込むのは大変です。しかし、当事者の九電の役員、従業員の方にはフルテキストを読んでもらって、どこがどうであるか判断していただきたいと。そこから口頭で色んな議論をしていこうというものでした。口頭で議論するには読み込んで内容を理解する必要がある。疑問があるのはかまいません。わからない部分があるのはかまいませんが、何が書かれているのか把握して、疑問でも、批判でも、そういうものを出してもらいたいという趣旨でした。だから口頭での議論、役員ないしは社員との議論を提案したわけですが、ご承知の通り九電側からは、それには応じられず、書面で応じるという返答がきています。

なぜ書面でやるかということに関して、九電側がいくつか理由を挙げられているんですが、たとえば書面のほうが正確な情報をしっかり確認することができると。また、討論会は議論の拡散、すれ違いもあると。実のある意見交換にならない、などといわれていますが、きちんと報告書を読み込んでいただく、そして、緊張感を持って議論に出ていただくのが一番重要だと思います。書面にする場合に、緊張感を持って読んでない、とは申しませんが、口頭議論だと非常に緊張感を持ってできると思うのでやっていただきたいと。それに議論の拡散といいますが、議論をリードしていく人が、それも我々がやることになるんだとは思うが、論点を整理していけばいいことで、大した懸念にはならないでしょう。逆に私どもの懸念であげていたのは、書面でのやりとりでは会長、社長の意見しか、集約されたものしか出ないのではないかと申し上げていました。それに対しては、九電側は、各従業員の生の声を出すと回答がきているが、そうなると色んな両論というか、3つか4つの意見を併記した形になるので、議論の核心がぼけてしまってどこを議論しているのかわからなくなると思います。

したがって、我々としては実のある議論と、さらに理解を深めてもらうには、口頭の議論でなければならないだろうと。それにはしっかり読み込んでもらう必要があるだろうと。会社側がいうような書面によるやりとりでは、我々の提案したものには合わないだろうと思っています。

それと対案ではないのですが、別の考え方から、第三者委員会の元委員から公開質問状を出してみようということになりました。ここから今回の内容・趣旨になりますが、公開質問状に関して。

ポイントは2つぐらいに絞られまして、最大のポイントは、九州電力という会社でなくて眞部社長個人に対して質問状を発しているということ、これが最初の大きなポイントです。なぜかというと、2番目の内容のポイントにも関係するが、再三、眞部社長から、色んな意見が出されているが、眞部さんは「第三者委員会の認定をそのまま認めると、無実と確信している第三者に濡れ衣を着せることになる」と再三おっしゃっている。10月14日の会見でも、11月4日付のイントラネットによる社員向けのメッセージにも書いているし。そういうことは断じてできないとおっしゃっているが、このような発言は、九州電力という会社の意思表示というよりも、発し方を見ますと、眞部社長個人のお考えではないかと考えています。だから会社に対するものでなく、社長個人ということにしたと。

それから、2番目のポイントは、内容でありまして、すでにお話したようにポイントが「濡れ衣を着せている」というところにありまして、これは当然のことながら第三者委員会の報告書が、無実の第三者に濡れ衣を着せているようなもの、と言われていると考えられます。それは先ほど、経緯のポイントでも申し上げたとおり、第三者委員会として、優秀な弁護士チームが入念に調べ上げた結果を元に報告書を作り上げております。それが「第三者に濡れ衣を着せるようなものだ」ということになりますと、考えようによっては、第三者委員会の各委員に対する名誉毀損も考えられる、ということもあります。だから、内容的には今回はこの1点に絞っています。

当然、議論するところ、第三者委員会と眞部社長、会社と意見の相違はいくつかありますが、今回はものごとをシンプルにしたいと思いまして、眞部社長の発言、この発言一点に絞りまして、根拠を、なぜそう思われるのか、その根拠を明確に示してもらいたいという形での公開質問状にいたったわけです。

[郷原]
私から若干補足をします。1点は、今回第三者委員会のメンバー4名のうち、3名連名の公開質問状になっていることのご説明をします。ご存知のように、10月31日に、岡本教授が記者会見を開かれました。そこで発言された内容は我々も把握しています。まったく唐突に、なんのご相談もなく行われ、その内容が、これまで第三者委員会で議論してきたこととは全く違う「やらせというのは原発問題に対する社会的な合意の作り方としてやむをえない」ですとか、「九電が佐賀県知事かばうのは人格として立派だ」とか、第三者委員会の報告書を取りまとめる過程で全くおっしゃっていなかったことを突然、記者会見で言われたことに非常に驚いているところです。そういったこともあって、岡本教授はわれわれとは、現在において、考え方が違うことは明白であると思います。また、我々は、九州電力とはすでに利害関係がない、ただ、第三者委員会として、こういう九州電力を、少しでも、公益を担う企業としてよい企業になってもらいたいという思いからやっているわけですが、電話で確認したところ、岡本教授は立場が違っておられるということをご自身でも認めていらっしゃいました。今後も組織風土調査なんて話もあるかもというようなことも聞きましたが、立場が違うということで我々とは一緒に行動できないとのことです。今回は、我々3人で、古谷さんはこの場には所用でいらしてませんが、同じ意見です。ということで、3人連名で眞部社長宛に公開質問状を出したということです。

それから、この問題をどう捉えるか。現状をどう考えるかということについて若干の個人的なコメントを付け加えさえていただきます。

問題の深刻さの度合いとか、問題の性格が違うといっても、きょう大々的に報道されていますオリンパスのケースと九電の眞部社長をめぐる問題とは、共通しているものがあるのではないかと思います。要は、日本社会にとって非常に重大な問題となっているのは、大企業、社会に非常に大きな影響を与える大企業において、コーポレートガバナンス、経営者を統制するシステムが全く機能していないということが問題になっているわけです。それに関して言えば、オリンパスの粉飾決算といわれる問題とは違いますが、今回我々が再三にわたって指摘しておりますように、どうも眞部社長という経営者の行っている行動が、社会常識から完全に逸脱しているのではないかといっているわけです。それに対して企業としてガバナンスがどのように機能しているのか。全くその辺りが疑問なわけです。本来経営者の行動はみんなが納得できる、こういう理由でこういう考えだ、ということならわかるんですけど、どうもこれまでの発言や行動を見ると、自分が考えていることの根拠を示さず、自分の力を誇示して、自分の主張を押し通そうと、そしていったん言ったことは曲げないと宣言しているように感じます。これはもう一歩間違えると、公益事業者、しかも原発という社会にとって非常に大きな影響を与える企業の経営者として極めて危険な状態ではないかと感じるわけです。

社内イントラネットでも、県知事に関して「第三者委員会の報告書の内容は無実の人に濡れ衣」ということを言っていることもさることながら、ここではっきり言っているのは、「第三者委員会の報告書をそのまま受け入れることは、嘘をついていたという嘘をついたことになる」と言われています。これは端的に言いますと、自分が間違っていたことを認めないと宣言されている。こちらのほうにむしろ重点があるとすれば、裏を返せば「反省してないのに、反省していないとはいえない」といっておられるのに等しいのではないか。こういったことを考えますと、我々としては、会社全体の問題というよりも、眞部社長がどういう考えで今のような発言をされているのかを、ご自身からきちんと公の場で述べられる必要があると。それについて、ほかの役員の方々、社員の方々がどう考えられるのかを明確にしていただきたいと考えております。

岡本教授の会見とほぼ同時期に玄海4号機の運転再開もありましたが、いろんな原子力関係の人に聞きましたが、「まったく理解できない」ということです。これだけ社会から批判を受け、信頼を失墜している会社が、ヒューマンファクターで緊急停止した原子炉を定期検査1ヶ月前に動かすというのを、「まともだ」という人は少ないと思います。岡本教授は「加圧式の原発は止めてるほうが危ない、動かしたほうが安全だ」ということを言われており、我々にはとても理解できません。

そういった点から考えても九州電力の状況、とりわけ、眞部社長の行動は放置できないと考えて、3人の連名で、公開質問状を出そうということになったわけです。

質疑

Q:九電側は誰に提出した?

A:[阿部] 渡したのは物理的に社員の方に渡した。名前まで伝える必要はないと思います。社長側の反論はありません。

Q:社長の回答方法は? 公の場?

A:[郷原] 公でなければ、我々が公開します。できれば表に出てお話していただきたいが、文書であれば、それを公開します。
  [阿部] 文書でも拒否するものではありません。

Q:公開での議論は断念したのか?

A:[阿部] 九電が完全に拒否している状態です。これ以上言ってもどうにもならないかなと。

Q:九電から逆に第三者委員会の方に質問がきたらどうする?

A:[郷原] 質問内容を直ちに公開して、我々なりにコメントしたいと思います。一体どういう質問を、一体誰がしてきているのかを。責任の所在を明確にして「社長の疑問である」「役員の疑問である」「社員の疑問である」と。どなたがおっしゃっているのかをはっきりさせてもらいます。もちろん、我々として、答える内容があれば答えるし。まずはどういう内容か見せていただきたいですね。

Q:名誉毀損とあるが、提訴は頭の中にある?

A:[郷原] しっかりした根拠で言ってるのなら全然問題ないわけです。だから、まずは根拠を示していただきたいと言ってるわけです。

Q:法律の専門家として名誉毀損といえる?

A:[郷原] 眞部社長になんら根拠がないとすればですね。我々が相当な根拠を持っていっていることを、なんら根拠なく「濡れ衣きせてる」と言われるなら、それは法的にも問題ではないかと。
  [阿部] 第三者委員会側もしっかり根拠を出してますから、それに対して反論が、きちんとした根拠があるならば、そこのすりあわせというか、どこがどう違うかという議論が始めて発生してくるのですが、片一方の根拠がないのですね。出てくれば色んな対応が可能だと思います。

Q:根拠がなければ民事訴訟?

A:[郷原] まずは(発言の)根拠がないのかどうかです。そこから先はまだ考えていません。

Q:九電の回答はどんなものなの?

A:[阿部] 我々は(書面では)会長、社長の意見しか出てこないのではないかと答えたのだが、それに対しては、九電側は幅広く色んな階層の意見を集めますといわれてる。そういう形の質問状を提起して、それに対してこちら側が判断すると。それを判断して、次の修正報告書につなげるという言い方をしています。
  [郷原] こちらが拒否したというより、我々の提案を(会社側が)拒否されたということです。我々は提案したほうなんです。オープンな場で議論が必要じゃないですかと。それに対して「しない」という回答だったということです。別に質問状か何かがくれば、中身を見て判断します。とにかくあくまで我々の提案とは違うということです

Q:九電はこれをもって「議論を尽くした」というかもしれませんが。

A:[郷原] そういうですね、九電が考えているような、質問状を出して、それに我々が答えたら、議論が尽くされたとか、第三者委員会を受けた報告書の再提出になる、ということはないと思いますね。責任のはっきりしないような人から意見をぱらぱらと拾い集めたことで、第三者委員会の報告書のしっかりした受け止めになるとは思えない。まずは経営者の眞部社長が何を言っているのか、はっきりさせる必要があると思います。最低でも、個人あての公開質問状に明確にお答えにならないかぎりは、我々の質問に答えたということにならないと思います。
  [阿部] 我々が懸念していたのは、九電側の、口頭の議論を拒否した上での別提案というか、別の狙いというのが、書面でやりとりをして、一応第三者委員会と議論をしましたという形を作って、十分理解できたので再度出しますと、で結果として同じものを出します、では意味がないだろうことを一番懸念しています。

Q:先行きが見えなくなっていますがどうお考えか。

A:[郷原] この公開質問状は眞部社長個人宛ですし、個人が自分の考え方で「無実だ」と言っているわけですから。それに対して眞部社長が何もしないなら、さすがに役員の方々、社員の方々は、こんな人を社長としていただいていていいのかと考えるのかが普通ではないか。そういう意味で、事態を明確にすれば、早く決着させることにつながるのではないかと思って出したわけです。[阿部] そういう意味では、私どもが出した10月26日のメッセージは、役員へのメッセージは当然いきているということになります。

Q:見解の相違があると思うが、結論がずれたままになることは?

A:[郷原] 社内で第三者委員会の調査と別個に調査をやったというのなら、社内調査の結果がまとまったものがないといけないと思うんです。我々があきれたのは、第三者委員会の調査の前の7月14日の国への提出分の、社内調査のヒアリング記録がないんですよ。社長が思いつくままに関係者を呼んで、適当に質問をして、その結果を報告書に適当に書いちゃ直し、書いちゃ直し、ということをやられているようです。おそらく今、眞部社長が言われている話も、独自に話を聞いているといっていますが、じゃあまともな記録があるかというと記録がないんですよ。これは調査じゃなく、社長が関係者に話を聞いただけです。ま、逆の見方をしたら、社長が、調査ではなく、働きかけをしたということです。(社員に)「こういうことじゃないよね」、という働きかけをしたら、社長の言葉は重いですから、そういう話になります。客観的な事実を明らかにするための調査などということが行われたとは、私は思いません。

Q:社長がこの質問状を無視したら?

A:[郷原] 無視する人物であるということが明らかになるだけでも意味があるのではないか。社長個人に対して質問をしたのに対して、まともな社会人なら回答されると思いますし。「根拠がないなら名誉毀損だ」ということまで指摘しているわけですから。それに回答しないというのなら、あまりに非常識だと思いますが。

Q:質問に対して無視するとなったら名誉毀損で提訴する?

A:[郷原] 今の段階では、そこまで考えたくないですね、さすがにそういう人が公益企業の経営者をしているとは思いたくないので。

Q:この公開質問状は一般の人も見れる形になるの?

A:[郷原] そうですね、たとえば、私の個人的なメルマガを配信しているサイトなどもありますし。そういうのを使って、どなたでもごらんになれるようにする方法はこれから考えたいと思います。

Q:今後の見通しについてだが、社長が根拠を示していないことが問題なのか。

A:[郷原] 根拠を示していないのが現状です。根拠を今後示された場合、それが根拠になっているかどうかが、次の問題です。

Q:国の意向は確認していないのか?

A:[郷原] これは、国への(報告書の)再提出のステップとは違ってですね、その過程で眞部社長個人がわれわれにとっては極めて不当と思えるような発言をしていることに対して、質問状を出しただけであって。経産省への報告書の問題に対しては入り口にも来ていないと思います。それは会社の問題で、眞部社長個人の問題とは違うと思います。

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