九州電力やらせメール問題検証サイト

【公開質問状に関する補足説明】

2011/11/13

2011年11月9日、九州電力第三者委員会のメンバー3名で、貴殿宛に公開質問状を提出致しましたが、その後、同月11日夕刻になって、突然、貴殿から当職宛に電話があり、その真意を問い質すため当職から架電した12日午前にも、電話で話しましたが、その2回の電話の際の発言に照らすと、貴殿には質問の趣旨及び回答すべき事項等について重大な誤解があるように思われます。誤解に基づく回答が行われることで無駄な時間を費やすことがないよう、質問の趣旨につき補足説明致します。

なお、この補足説明は、貴殿が当職個人に電話をかけて来られたことを発端とするものであるので、当職個人名義で行うものですが、内容については、阿部道明教授、古谷由紀子氏の了承を得ています。

1.電話での貴殿の主な発言

「質問状には15日までに答えるが、そうするとこちらからも第三者委員会報告書に対して質問をせざるを得なくなるが、それでもよいのか」
「私の言動は、すべて九州電力の社長としてのもの。個人としてということはあり得ない。会社の責任で対応させてもらう」
「岡本先生も第三者委員会報告書とは意見が違うと言われた。最近の記事で阿部先生も同じようなことを言われている。第三者委員会の報告書は誰が書いたか知らないが、他の委員の方の考え方とは違う。質問は4名に委員全員に出させてもらう」
「第三者委員会報告書のことを書いているブログのことを御存じか。それを読んだ上で、言われているのなら結構だが」
「(公開質問状に対する回答書の公開に関して)先生は何でもかんでも公開と言われるが、本来、会社と第三者委員会との間で話し合うべきもの。公開するようなものではない」

2.知事発言に関する「意図・真意は措くとして」という文言について

貴殿の上記(3)の発言は、10月31日記者会見での岡本教授の「『真意はおくとして、発端』というのが赤松報告書。本報告書ではとらなかった。私は赤松報告書のままのほうがよろしかったと考えている。」との発言を受けてのものと思われます。

また、「最近の記事での阿部先生の発言」というのは、NetIBNews11月9日号に掲載されたネットのインタビュー記事の中の「我々の認定としては、古川知事がそういう意図で『やらせ』を命じたということまでは、読み取れない。だから、知事の意図は措くとして、客観的な因果関係からいうと、知事の話した内容が発端で、いわゆる課長級社員の『やらせメール』につながったという認定をしているわけです。」という発言を指しているものと思われます。

要するに、貴殿が言いたいことは、赤松報告書では、「意図、真意を措くとして」と言っているのに、第三者委員会報告書は、それを言っていない。第三者委員会報告書は郷原個人が勝手な見解を書いたもの、ということのようですが、全く誤った認識です。

社会活動や経済活動は、個々人の発言の客観的内容や作成した文書の客観的記述を中心に、それらへの信頼に基づいて行われているものであり、もし、発言者や文書作成者の意図・真意が客観的な発言内容や文言とは異なったものであったとしても、意図・真意と異なっていることを認識していたという場合以外は、客観的な内容・文言を前提に物事が進んでいくのであり、発言・文言を受け止めた側の行為の評価も、客観的な内容に基づいて行われるのが当然です。

そういう意味で、第三者委員会報告書においても、別紙として添付している赤松報告書の「意図あるいは真意は措くとして」という文言を重ねて述べてはいませんが、九州電力側の行為を認定し、評価する目的のものである以上、古川知事の「意図・真意」を直接認定しようとしているものではありません。

赤松報告書が、「知事発言が本件賛成投稿要請の発端」と明確に認定しているのと同様に、第三者委員会報告書でも、知事発言が発端であるとの認定に基づき、さらに、発端となった知事発言が賛成投稿要請にどのような影響を与えたのか、について、委員会独自調査の結果も踏まえて認定を行ったものです。

九電側の行為の認定に関して、「知事の求めている賛成投稿を行うことが玄海原発再稼働につながるとの期待」「知事の要請に応え、知事が描いているシナリオどおりに玄海原発の再稼働をしようとの強い意志に基づいて」などの表現を用いていますが、当然のことながら、これらは、知事の客観的な発言内容についての九電側の認識を前提に、行為の評価を行っているものであり、知事の「真意」そのものの認定を前提にしているものではありません。

知事発言に関する赤松報告書の認定及び「意図あるいは真意は措くとして」という文言の趣旨については、赤松弁護士から、次のようなコメントを頂いています。

[赤松弁護士コメント]

当職作成の調査報告書では、「佐賀支店長メモの作成経緯、同メモ作成の用途、目的、支店長の手帳の記載、副社長らの九電関係者の関係対応等」から、「同知事が懇談の場で同メモの記載と同様ないしは同趣旨の発言を行ったことは否定し難い」と認定しているものであり、調査結果としては、同知事の客観的な発言内容を関係証拠を総合して認定したことに尽きるものである。そして、その発言の客観的内容が、支店長作成メモに記載されているように、九州電力側に「ネットを通じて意見や質問を出すこと」を要請するものであったことは否定し難い、というのが当職らの調査結果である。

なお、「意図あるいは真意を措くとして」との文言について付言すれば、知事発言に関する調査が、九州電力側の賛成投稿要請の動機・背景を明らかにすることを目的とし、知事の責任追及等とは無関係である以上、発言者の内心の問題である「意図」「真意」が事実認定の対象外であるのは当然のことであり、ついては「意図あるいは真意を措くとして」という表現で、その当然のことを、念のために述べたものである。

九州電力の問題行為に関する調査及び事実認定である以上、知事発言の「意図・真意」の認定は不要であることは、第三者委員会報告書においても基本的に同様であろうと思われる。当職も、同報告書も九州電力に提出される前に全文を読んで内容を確認したが、知事発言に関する記述は、基本的に当職作成の報告書と同趣旨と理解した。

以上述べたとおり、上記の岡本教授の記者会見での発言は第三者委員会報告書と赤松報告書との関係についての誤解に基づくものであり、一方、ネット記事での阿部教授の発言は、第三者委員会報告書と何ら齟齬はありません。

なお、この点に関連して、マスコミ報道の中には、「古川知事の責任」を認めるか否かが、第三者委員会報告書と九州電力の報告書の違いであるかのように述べているものがありますが、明らかに誤りです。九州電力の問題行為について調査・検討するための第三者委員会ですから、社外の第三者である古川知事に責任があるか否かは関知するところではありません。ただ、その知事の発言内容及びそれを九電側がどう受け止めたかは、問題行為の動機・背景に関する重要な事実なので、調査の対象とし、事実認定の対象とせざるを得ないということです。そして、報告書で認定した事実が公表されることで、古川知事の側に影響が生じることはあり得ます。しかし、基本的にそれは「意図・真意」まで認定するものではないので、それが客観的な発言内容と異なっているのであれば、そのように説明されれば良いし、報告書で認定された発言内容自体にも異論があるというのであれば、その旨反論されれば良いことです。

3 第三者委員会委員メンバーと岡本教授の言動について

九州電力第三者委員会は、9月末をもって活動を終了しましたが、その後も、委員メンバーは、個人的な立場で、公益企業である九州電力が社会的信頼を回復し、健全な企業として再生されるために連携協力関係にあるものと考えてきましたが、10月31日に岡本教授が、まったく唐突に、他の委員メンバーには何の相談もなく記者会見をされ、第三者委員会も報告書取りまとめの過程でも全く言われていなかった「やらせというのは原発問題に対する社会的意思決定を行う方法としてやむをえない」、「九電が佐賀県知事をかばうのは人格として立派だ」というような発言をされたと聞き、他の3名とは完全に袂を分かたれ、委員会メンバーから離脱されたものと理解しました。

その会見の中で、第三者委員会の議論の過程で意見を述べる機会が与えられなかったかのような発言があったのは大変遺憾ですし、それが、上記1の「意図・真意を措くとして」についての誤解とあいまって、私が他の委員の意見を無視して委員長として個人の独自の考え方で報告書を作成したかのような認識につながっているとすれば、看過できない事態だと思います。

2か月余りという限られた期間ではありましたが、第三者委員会では、5回の会合のほかに、頻繁にメールのやり取りをするなどして、十分な議論を経て、報告書のとりまとめを行ってきました。第2回委員会だけは岡本教授の日程調整が困難だったので、その直前に個別に面談して、そのお考えを伺いました。当然のことながら、岡本委員にも十分に発言の機会があったはずです。委員会終了後1か月も経って、自分の意見は違うと言われるのは誠に心外です。

貴殿が、記者会見における岡本教授の発言を真に受け、私が他の委員の意見とは異なった第三者委員会報告書を作成したかのような誤解に基づいて質問書等を公表された場合には、新たな名誉棄損行為につながりかねません。その場合、第2回委員会の配布資料の一つとした岡本教授と私との「8月15日の面談メモ」を、第三者委員会の検討が岡本教授とも十分な議論を経た上で行われてきたことを示す資料として公開せざるを得ないことを御承知おき頂きたいと思います。

4 「九州太郎ブログ」について

貴殿が電話で言及された「ブログ」というのが、ヤフーブログに2、3週間前から、異常な程のボリュームで第三者委員会報告書への批判を書き続けている「九州太郎」と称する正体不明の人物のブログであることは承知しています。

一読したところ、知事発言との関連で殺人教唆の事例を持ち出すなど、刑事事件と今回のような企業のコンプライアンス問題との違いすら理解できていない低レベルの内容なので、ほとんど問題にするまでもないと考えていますが、このような正体不明のブログが、会社上層部からの指示によって九州電力内部で多数の社員に回覧されているだけではなく、第三者委員会報告書への反論にも活用されようとしているという話も仄聞していますが、まさか公益企業である九州電力でそのようなことが行われることはあり得ないだろうと思っています。

九州電力役職員の方々なら、第三者委員会報告書をじっくり読み込んでもらえれば、委員会が何を目的に設置され、どのような事実を認定し、何を言おうとしているのかは理解できるはずです。その理解を前提にすれば、ブログ記事による批判が、凡そ的外れであることは明らかであろうと思います。

同ブログでは、第三者委員会への「質問状案」まで掲載されているようですが、もし、貴殿が言うところの、我々に対して出される予定の「九州電力の第三者委員会報告書への質問状」というのが、このブログ質問状の内容に近いものであるとすると、九州電力が、第三者委員会報告書について自ら読んで理解した上で反論するのではなく、正体不明の他人が書いたブログ記事を頼りに反論する企業として、「天下に恥をさらす」ことになると認識頂きたいと思います。

なお、電話での貴殿の言葉の端々に、九州電力側から質問を出されたら私が困るのではないかという認識が表れているように思いましたが、電話でも申し上げた通り、九州電力の役職員の方々が、第三者委員会報告書をじっくり読んで頂いた上、本当に疑問をお持ちなのであれば、いくらでも疑問を出して頂いて構いませんし、一つひとつ丁寧にお答えしようと思います。それは、今後、第三者委員会報告書を九州電力の信頼回復のために活用して頂くために不可欠なことだろうと思います。しかし、報告書をよく理解しようとせず、正体不明のブログ等に書かれている的外れな誹謗中傷のようなことをそのまま質問状に書いて来られるとするなら、ほとんど意味はないのではないかと思います。

5.公開質問状において求めていること

我々が公開質問状で求めているのは、第三者委員会報告書を受け入れた内容の経産省への報告書を提出することが、なぜ「無実の人に濡れ衣を着せること」になるのか、具体的な根拠を示してもらうことです。第三者委員会報告書は、弁護士チームの資料分析、ヒアリング等の調査結果に基づいて、「知事発言が賛成投稿要請の発端」などの事実を認定しているのであり、その報告書のどの部分がどのように「濡れ衣」を着せることになるのか、「私どもが無実と考えている、いろんな方の供述から判断して無実だという」ということを言われていますが、この「いろんな方の供述」というのは、誰が、誰から、いつ聴取した供述なのか、具体的に明らかにして頂きたいということです。その「いろんな方」というのが、もし、第三者委員会や弁護士チームの調査においても聴取対象となった方なのであれば、どちらの聴取における供述が信用できるのか、という点についても判断が必要になるので、聴取者、聴取の日時、供述内容等の記録を示して頂きたいと思います。

これらは、既にお届けしている公開質問状を読んで頂ければ明らかなことですが、貴殿の電話では、その点を十分に御理解頂いていないように思えたので、敢えて付け加えておきました。