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【取締役会に向けての緊急メッセージ】

2011/10/26

10月27日に、九州電力株式会社の取締役会が開催され、玄海原発再稼働に関する国主催の県民説明番組への賛成投稿要請問題に関する経済産業省への報告内容に関して審議が行われると聞いています。

この問題に関しては、10月14日に同社が同省に提出した最終報告書が第三者委員会の報告書を反映していなかったことに関して、枝野幸男経済産業大臣からも厳しい批判が行われたことを契機に、同社が厳しい社会的批判、非難を受けたことから、再提出が検討されているものであります。今回再提出する報告書の内容を決することとなる今回の取締役会は、公益企業である同社の業務の社会的影響大きさを考えた場合には、同社のみならず、社会全体に対しても重大な影響を及ぼしかねないものと考えられます。

九州電力第三委員会の委員であった我々は、同社の取締役各位が、会社法上の法的責任のみらならず、公益企業の取締役としての社会的責任という観点から、同委員会報告書の内容を十分に踏まえ、経済産業省に再提出する報告書の内容について、適切な判断を行われるよう、緊急メッセージを発するものです。

同社取締役各位には、以下の各点を十分に認識理解された上、取締役会での審議及び採決に臨んで頂きたいと願うものです。

1 知事発言ではなく「メモ」が発端だとする「見解」は社会常識に反する。

一連の賛成投稿要請を実行又は指示したのは、知事との面談に同席していた前副社長、前原子力本部長、佐賀支店長であり、面談で直接聞いた知事の話を発端とするものであり、メモを発端とするものではない。支店長作成のメモが賛成投稿要請に至る因果の流れに影響を与えたのは、原子力発電本部のグループ長による投稿要請だけであり、もう一つの大きなルートである佐賀支店長からの指示による投稿要請に関しては、そもそも同メモは、因果関係の流れに介在していない。「メモが発端」という九電の見解は客観的事実経過と符合していない。

知事発言がメモと同様ないし同趣旨であったことは、第三者委員会報告書に別紙として添付されている赤松弁護士チームの報告書において、メモの作成経緯、作成者の供述等により詳細に認定されており、疑う余地もない。

しかも、同報告書に記載されているように、九州電力の松尾会長が、面談メモの記載について電話で古川知事に確認した際に、知事自身が「そのような話をした気がする」と言って、メモと同趣旨の発言をしたことを認める発言をした旨述べていること、同社の眞部社長も、本件の発端に関して「知事のしゃべりすぎ」を指摘していることなどから、知事発言が発端であることは、弁護士チームのヒアリングに対して、同社の経営トップも認めているのである。

すなわち、本件賛成投稿要請が古川知事の発言を発端とするものであることは、全く疑いようもない事実であり、それを否定する同社の「見解」は明らかに社会常識に反するものである。

2 従来の姿勢への「反省」がない限り、社会的信頼は回復できない。

眞部社長は、第三者委員会の設置後、「知事の発言の真意とは異なるメモが発端」との見解を公言し、第三者委員会の中間報告に際しても、「知事の発言の真意とは異なるメモが発端」だとして中間報告に反論する「当社の見解」を同社のウェブサイトで公表するなどしてきた。

同社が経済産業省への最終報告で、知事発言が賛成投稿要請の発端であることなど第三者委員会報告書の指摘を無視したのは、経営トップが中心となって同社がとり続けてきた姿勢の延長上であり、そのような同社のこれまでの姿勢に対する反省がない限り、どのような報告書を再提出しようと、社会からの信頼回復はあり得ない。

3 取締役としての法的義務を認識すべきであること。

上記のように、同社は、社会常識に反する「見解」を頑なに維持して古川知事を擁護しようとする姿勢を取り続けたことによって、社会からの信頼を著しく損なった。その信頼の失墜が、同社の原発再稼働を著しく困難にしているばかりでなく、公的金融機関からの融資が停止される動きにつながるなど、同社の経営に重大な影響を生じさせている。

そのような同社経営陣の姿勢が、今回の取締役会で容認され、維持されることになれば、同社への社会的信頼は完全に崩壊することになりかねない。その場合、電気利用者の側からは、そのような全く信頼できない電力会社との間で電気供給契約を締結せざるを得ないという電力会社による地域独占の体制に対して、これまで以上に強い不満と反発が起きることが予想される。

このように考えた場合、経済産業省への報告書の再提出に関して、同社が「知事発言ではなくメモが発端」との見解を維持し、反省を全く行わないという方針が取締役の多数の賛成で容認された場合には、それは、同社に回復しがたい莫大な損害を生じさせるものであり、賛成した取締役が善管注意義務違反に問われ、株主代表訴訟の提起を受ける恐れもある。仮に取締役会の審議事項とならなかった場合でも、審議事項に加えるよう動議を出さなければ同様であろうと思われる。

取締役はこれらの法的義務があることを十分に認識した上で、今回の取締役会での審議に臨んで頂きたい。

4 会社法制、コーポレートガバナンスの危機であること

現在、九州電力経営陣が行おうとしていることは、社会的常識を逸脱した「経営者の暴走」である。万が一、会社の業務執行の意思決定機関である取締役会においてそれが容認されることは、我が国の会社法制、コーポレートガバナンスのシステムの欠陥が露呈することを意味する。それは、会社法制を中心とするコンプライアンス、コーポレートガバナンスのシステムによって、会社の健全な運営を確保しようとしてきた日本の企業統治システム自体の危機という極めて深刻な事態を招くことを認識して頂きたい。

以 上